舎利殿能の構成

プログラム

I 献花

「華道 月輪未生流」が描く
高貴なる祈りのかたち

格調高い花形が風雅を醸す「華道 月輪未生流」。
歴代皇族への献花が起源とされ、
泉涌寺歴代長老が家元を継承してきました。
舎利殿能二〇一八では、その献花式を舎利殿にて再現。
古式に則った艶やかな衣裳を身に纏い、
厳かな雰囲気の中で執り行われる儀式を、
堂内二箇所に設けた献花台でご覧いただけます。
皇族の御尊牌を祀る霊明殿で行われる正月の拝賀式、
仏殿にて日本最大の涅槃図が公開される月の涅槃会、
秋のいけばな展でのみ拝観可能な貴重な儀式。
舎利殿で行われるのはこの舎利殿能のみとなります。

II 声明

魂を揺さぶる
祈りと讃嘆のハーモニー

声明(しょうみょう)とは、お経に節がついた仏教音楽で、
釈迦の教えを讃嘆(さんだん)する、仏教の聖歌です。
宗派によって表現が異なり、
真言声明と天台声明が二大流派といわれています。
当夜は、真言宗泉涌寺派総本山の僧侶が真言声明を披露。
祈りの深遠へと導くダイナミックなハーモニーは、
魂を揺さぶる体験となることでしょう。
相次いで自然の驚異にさらされた今年は、
鎮魂の意味も込め、災いを消す呪文「消災呪」を唱和。
さらに、舎利を讃嘆する声明であり、
謡曲「舎利」の冒頭一節にも登場する舎利礼文を唱え、
能楽「舎利」の世界へみなさまを誘います。

III 能楽

金剛流二十六世宗家・若宗家が舞う
舎利殿での初共演 能「舎利」

能楽シテ方五流派の中で唯一関西を本拠地とする金剛流。
古くは奈良の法隆寺に奉仕した猿楽座の坂戸座を源流とし、
豪快で切れのある動きの中にも華麗さ、優美さが漂う
舞金剛(まいこんごう)と呼ばれる芸風で
多くの観客を魅了し続けています。
また、豊臣秀吉拝領の「雪の小面」や艶麗な「孫次郎」など、
所蔵する能面・能装束に名品が多いことでも知られ
「面金剛(おもてこんごう)」とも言われています。
舎利殿能二〇一八では、二十六世宗家・金剛永謹(ひさのり)がシテを、
若宗家・金剛龍謹(たつのり)がツレをつとめ、
舎利殿での演能は、共に記念すべき初公演となります。